サビのロングトーンで、声が波のようになめらかに揺れるビブラート。歌の表現力を大きく高め、カラオケの採点でも加点対象になる人気のテクニックです。
ただ、「声を揺らそう」と喉やあごを動かしてしまい、不自然な声になって悩んでいる方も少なくありません。ビブラートを身につけるコツは、声を「揺らす」のではなく「言う」イメージを持つことです。
この記事では、ビブラートの仕組みから、初心者でも取り組める出し方の3ステップ、種類別のコツ、うまくできないときの対処法までを解説します。

目次
ビブラートとは、声を伸ばすときに音程をわずかに上下させ、声に波のような揺れを加える歌唱テクニックです。
ボーカリストの歌を聴いていると、フレーズの途中や最後で声が心地よく揺れていることに気づくのではないでしょうか。多くのプロのアーティストが取り入れています。
ビブラートは、「息」と「喉」の連携で生まれます。
喉の力で無理やり声を揺らすのではなく、安定した息の流れに声を乗せている状態です。そのため、息が安定していないと波も乱れやすくなります。
ビブラートを取り入れると、次の2つの効果が期待できます。
「ビブラートは歌っていれば勝手にかかる」と聞いたことがある方もいるでしょう。実際、特に練習しなくても自然とかかる人もいます。
しかし、自然にかからないからといって歌が下手なわけではありません。ビブラートは「練習していればいつかつくもの」ではなく、出し方を知って「意図して取り入れるもの」です。次の章の手順で練習すれば、後から身につけることができます。

ビブラートの練習といえば、「半音ずつ音程を上下させて揺らす」方法がよく知られています。間違いではありませんが、「揺らそう」と意識するほど喉に力が入りがちです。その結果、あごがガクガク動いたり、声がこわばったりしてしまう方もいます。
そこでこの記事では、声を「言う」イメージで波を作る練習法を紹介します。
ビブラートの土台は、一定でブレない息です。まずは出しやすい高さで「あー」と声をまっすぐ伸ばし、声の大きさが変わらないかを確かめましょう。
大きな声を出す必要はありません。息をたくさん吐こうとせず、穏やかな息に声を乗せる感覚で、5秒、10秒と少しずつ伸ばせる時間を長くしていきます。
息が安定してきたら、次のように声を出してみましょう。
「あぁ↓あぁ↓あぁ↓あぁ↓」
大きな「あ」と小さな「ぁ」を交互に、途切れないようにつなげて優しく言います。伸ばした声を力づくで揺らすのではなく、ゆったりした一定のリズムで「あぁ」という言葉を言い続ける感覚です。この言い方の連続が、そのまま音程の波になります。

最初は「あぁ↓」を4回、慣れたら8回と、回数を決めて練習しましょう。回数を区切ると、波のリズムが一定になりやすくなります。
安定してきたら、好きな曲のサビなど、音を長く伸ばす部分で試してみます。メロディの長さや曲のテンポに合わせて、「あぁ」のスピードや回数を調整しましょう。できるようになると、歌の中に自然になじむビブラートになります。
なお、音程を上下させる練習ですでにビブラートがかかっている方は、その方法で問題ありません。うまくいかないときに、この「言う」練習を試してみてください。

ビブラートは、揺れを生み出すときに意識する体の部分によって、大きく3つに分けられます。波の細かさや大きさが違うため、曲の雰囲気に合わせて使い分けると表現の幅が広がります。
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種類 |
波の特徴 |
難易度 |
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喉を使う(ちりめんビブラート) |
細かく繊細 |
やや高い |
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あごを使う |
大きくダイレクト |
普通 |
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横隔膜を使う |
ゆったり安定 |
やや高い |
宇多田ヒカルさんのような、細かく繊細な波を持つビブラートです。「ちりめんビブラート」とも呼ばれます。文字で表すと「あ・あ・あ・あ」というイメージで、STEP2の「言う」練習を細かく速くしたものです。
基本のビブラートより難易度が上がるのは、次の2つの理由からです。
喉は楽な状態を保ちつつ、音に輪郭だけをつけるバランスがポイントです。喉が痛くなったら、すぐに練習をやめましょう。

あごをゆったり上下に動かして波を作るビブラートです。演歌や、ホイットニー・ヒューストンをはじめとするゴスペル出身のボーカリストによく見られます。
このビブラートだけは、「言う」ではなく実際に「揺らす」イメージで取り組みます。ただし、力みは必要ありません。
出しやすい音程で楽に声を伸ばし、あごの力を抜いたまま「あぅあぅ」とゆったり動かします。大きくダイレクトな波が生まれるため、聴き手に強い印象を与えたい場面に向いています。

横隔膜は、肺の下にある呼吸に関わる筋肉です。横隔膜を使うビブラートは、吐く息の強さに波をつけて声を揺らす方法です。ゆったりと安定した波が生まれるものの、普段は意識しない筋肉なので、慣れるまでに時間がかかります。
まずは走った後のように「ハッハッ」と息を吐き、お腹まわりが動く感覚をつかみましょう。その動きを保ったまま「あ〜」と声を乗せると、息の波が声の波になります。STEP1で息を安定させておくと、波の大きさをコントロールしやすくなります。
練習してもビブラートがかからないときは、練習量よりも「頑張り方」に原因があることが少なくありません。よくある3つの悩みと対処法を紹介します。
原因:声を「揺らそう」と意識しすぎている
揺らすことを強く意識すると、喉の周りの筋肉が固まりやすくなります。首や肩のストレッチだけでは、力みが抑えきれないこともあります。
対処法:声量を半分に落とす
大きな声を出そうとすると、喉は締まりやすくなります。自分にだけ聞こえるくらいの会話レベルの声で、STEP2の「あぁあぁ」をつぶやいてみましょう。声量を落とすと力みが抑えられ、波を作りやすくなります。
原因:音程を頭でコントロールしすぎている
ピアノの鍵盤を交互に押すような感覚で音程を上下させると、揺れ幅が大きくなりすぎて、くどい印象になります。
対処法:リップロールで練習する
唇をプルプルと震わせるリップロールをしながら、STEP2の感覚で声を出してみましょう。唇に適度な抵抗がかかるため力づくで揺らしにくくなり、自然な揺れ幅に収まりやすくなります。
リップロールのやり方は、以下の記事で詳しく解説しています。
リップロールのやり方とは?効果やできない人向けの対処法も解説
原因:喉を締め付けて、息を無駄に使っている
息が続かないと「腹式呼吸ができていないから」と考えがちですが、原因は呼吸法だけとは限りません。喉が力んで声帯が中途半端に開いたり閉じたりすると、息が漏れてすぐに息切れします。
対処法:息を強く吐かず、声を「乗せる」
息をたくさん吐こうとするのは、いったんやめましょう。STEP1のように、穏やかな息に声をそっと乗せるイメージに切り替えます。声帯が効率よく振動すると息の消費が抑えられ、波を長く保てるようになります。
最後に、ビブラートの出し方に関するよくある質問に回答します。カラオケでビブラートを出す方法やおすすめの曲について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
カラオケで練習するときは、エコーをオフにするのがおすすめです。自分の声の揺れが聞き取りやすくなります。
分析採点機能がある機種なら、ビブラートがかかった部分にマークが表示され、どこでうまくかけられているかを客観的に確認できます。まずはサビの最後など、音を長く伸ばす場所でSTEP3の要領で試してみましょう。
音域が広すぎず、テンポがゆったりしたJ-POPのバラードがおすすめです。サビで音を長く伸ばす曲なら、ビブラートを入れる場所が見つけやすくなります。
たとえば、Aimerの『カタオモイ』やHYの『366日』は、音の跳躍が少なくメロディがなめらかなため、練習に向いています。自分の声に合った音域の好きな曲で練習すると、楽しみながら続けられます。
腹式呼吸が完璧にできなくても、ビブラートは出せます。
腹式呼吸は、息を安定させるための手段の1つです。ビブラートに必要なのは、呼吸法そのものよりも「一定でブレない息」です。まずはSTEP1のロングトーンで、声の大きさを変えずに10秒伸ばせるかを確かめてみましょう。
腹式呼吸ができているか確かめたい場合は、仰向けに寝てお腹に手を当て、息を吸ったときにお腹が膨らむかを見るのが簡単です。
ビブラートは、歌を豊かに彩る表現テクニックです。自然にかからなくても、息を安定させ、「言う」イメージで波を作る練習を重ねれば、後から身につけられます。種類ごとの特徴を知って曲に合わせて使い分ければ、表現の幅も広がります。
ただし、自分の声が正しく出せているかは、自分では判断しづらいものです。喉に力が入っていないか、波の大きさは自然かをプロに聴いてもらうと、上達の近道になります。
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