リップノイズが起こる原因とは?すぐにできる7つの対策も詳しく解説

ボイストレーニング

2025/10/31

投稿者: 河野ひかり

リップノイズが起こる原因とは?すぐにできる7つの対策も詳しく解説

歌うときやスピーチ、プレゼンのときに「ぺちゃ」という雑音が気になると悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

リップノイズが起きると声が伝わりにくく、聞き手の集中力を途切れさせることもあるため、対策しておきたいところです。

そこで、本記事ではすぐにできるリップノイズ対策7選を紹介します。また、原因や除去する方法もお伝えしますので、クリアな音声を届けたい方はぜひ最後までお読みください。

リップノイズとは?

リップノイズとは、唇や舌を動かしたときに「ぺちゃ」「ぴちゃ」と鳴る雑音のことです。声優やアーティストなど、自分の声を使った仕事をしている場合、リップノイズは音声を邪魔する要因になります。

YouTubeを始めとするSNSで配信する場合など、視聴者に集中してもらうためにもリップノイズ対策は大切です。

また、リップノイズと似ているものにポップノイズがあります。リップノイズとポップノイズの違いを以下にまとめました。

リップノイズ ・唇・口内で発生する雑音
・「ぺちゃ」「ぴちゃ」などの音
ポップノイズ ・息を吐いたときに発生する雑音
・「ぼふっ」「ばふっ」などの音


ポップノイズは、
息を吐いたときにマイクに息があたって発生する雑音です。リップノイズとポップノイズでは発生する原因が異なるため、それぞれの特徴に合わせて対処できるようにしておきましょう。

リップノイズが起きる3つの原因

リップノイズが起きる3つの原因について詳しく説明します。

  • 唾液が多い
  • 口内が乾燥・べたついている
  • 唇が乾燥している

原因を知ることで、音声の質を大きく改善できる可能性があります。気になる方は、自分に当てはまるものがないか確認しましょう。

1. 唾液が多い

リップノイズが起こる原因の1つは唾液の量です。唾液が多すぎると口内が過剰にうるおった状態となり、唇や舌を動かしたときにリップノイズが起こりやすくなります。

唾液の量は、水分摂取量や口内の健康状態、空腹状態、心理的な要因などが影響して変化します。

後ほどリップノイズ対策を紹介するので、ぜひその内容も参考にしてください。

2. 口内が乾燥・べたついている

1つ目とは反対に、唾液の量が少なすぎても口内が乾燥し、リップノイズが起こる原因になり得ます。口内が乾燥・べたついていると舌と粘膜がくっつきやすく、口を開けた際に粘り気のある雑音が発生します。

長時間の会話や歌唱後にリップノイズが気になるときは、口内の乾燥が原因である可能性が高いでしょう。この場合は適度に水分をとり、口内にうるおいを与えることが大切です。

水分を取る時間がない場合は、タブレットや飴を舐めることで唾液が分泌されるので、長時間話すことが予測される場合などは、手元に用意しておくと安心でしょう。

3. 唇が乾燥している

最後に、唇が乾燥している状態でもリップノイズが起こることがあります。口内が乾燥すると、上唇と下唇が触れるだけで摩擦が生じ、余計な雑音が発生します。

冬の時期やエアコンがついた部屋では乾燥しやすく、リップノイズも生じやすくなるため注意が必要です。

今すぐできる!リップノイズ対策7選

リップノイズは適切な対策をとると軽減できる可能性があります。ここでは、今すぐできるリップノイズ対策7選を紹介します。

  1. 水分補給をする
  2. 歯磨きをする
  3. リップクリームを塗る
  4. 空腹時を避ける
  5. 口内の油分を取りすぎない
  6. リラックスする
  7. 鼻呼吸を意識する

視聴者に耳心地のよい声を届けるためにも、できることから取り入れてみてください。

1. 水分補給をする

歌ったり話したりする少し前から水分補給をおこない、口内をうるおった状態にしましょう。水分補給によって唾液の粘つきや口内の乾燥を防ぎ、リップノイズが起こりにくくなります。

時間の経過とともに口内の水分量は少なくなるため、こまめに水分補給することがポイントです。飲み物は常温の水や白湯、ハーブティー(有名どころではYOGIティー)、喉が乾燥しやすい方はハチミツやビタミンCが含まれる水などがおすすめです。

一方で、ジュースやスポーツドリンクは糖分が多く、口内の粘つきにつながるため避けましょう。上記の飲み物をいくつか試してみたうえで、自分に合ったものを選んでください。

2. 歯磨きをする

歌唱や録音前には、歯磨きをして粘ついた唾液や汚れを落としましょう。リップノイズを防ぐためには、口内環境が清潔で粘ついていない状態が理想です。

また、歯磨きをすることで口内が程よく刺激され、唾液の分泌を促す効果も期待できます。

歯磨きをする際は、歯の間に挟まった食べかすをデンタルフロスで取り除きます。最後に口をすすぎ、口内に糖分を残さないことが大切です。

3. リップクリームを塗る

唇の乾燥が気になる方はリップクリームを塗り、唇にうるおいを与えます。唇が適度にうるおうと上下の唇がスムーズに離れるようになり、リップノイズを防げます。

ただし、リップクリームを塗りすぎるとべたつくため注意が必要です。リップクリームは、余分な香料や着色料が含まれていないものがおすすめです。

また、時間の経過に伴い唇が乾燥するため、収録の直前に塗るようにしましょう。

4. 空腹時を避ける

歌唱や録音前は適度にお腹を満たし、空腹は避けましょう。空腹の状態は唾液の分泌量が少なく、口の中が乾燥しやすくなることでリップノイズも起こりやすくなります。

ただし、満腹状態だと眠くなったり腹式呼吸がしにくくなったりする原因となるため、収録前は軽食をとるのがおすすめです。

また、重たい食事や辛いものなど、喉や胃に負担がかかる食事は避けるとよいでしょう。

5. 口内の油分を取りすぎない

口内の油分が少なくなると、舌と粘膜が離れにくくなり、リップノイズが起こる原因につながります。

水分補給は大切ですが、烏龍茶や緑茶、紅茶、ブラックコーヒーなどは口の中の油分を取り除く作用があるため、飲むタイミングには注意が必要です。

歌唱中や収録中は「水分補給をする」でお伝えしたような飲み物にし、ある程度、口内の油分は残した状態で歌唱・収録に臨みましょう。

6. リラックスする

緊張すると唾液の量が少なくなり、口内が乾燥する原因につながります。口のうるおいを維持するためにも、直前には自分がリラックスできる環境を整えましょう。

たとえば、ストレッチやヨガを取り入れて身体をほぐしたり、好きな香りを楽しんだりするなどの方法があります。

また、精神面の状態も唾液の分泌に影響します。プレゼンやスピーチなど、緊張する場面でも楽しむ気持ちを持って臨むことを心がけましょう。

7. 鼻呼吸を意識する

口呼吸が習慣化している方は、鼻呼吸で息をする習慣をつけましょう。鼻呼吸をすると、口内の空気の流れが少なくなり、乾燥を防げます。

口呼吸が習慣になっている方は、口周りの筋肉が衰えてきて自然と口が開いている可能性も考えられます。

後ほど口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを紹介するので、実践してリップノイズの軽減を目指しましょう。

口周りの筋肉を鍛えるトレーニング

リップノイズは、口周りの筋肉を鍛えることで軽減できる可能性があります。ボイトレをすることで口周りがリラックスし、唾液が分泌されやすい状態に整えられます。

ここでは、スキマ時間でできるトレーニングを3つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。

リップロール

リップロールは唇を閉じて、ブルブルと震わせる発声トレーニングです。リップロールの手順は以下のとおりです。

  1. 唇を閉じる
  2. 息を吸い、唇をブルブルと振動させるように吐く
  3. 息を徐々に強くする
  4. 高い音や低い音など音程を変える

録音前にリップロールを取り入れることで、リップノイズを軽減できるだけではなく、正しい音程が取りやすくなります。時間がかからず手軽に取り入れられるため、ぜひやってみてください。

また、ストレッチと組み合わせておこなうことで、体をリラックスさせながら響きの練習や発声をしやすくする練習ができるのでおすすめです。

リップロールについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

【あわせて読みたい】リップロールの基本的なやり方やおすすめの練習法を紹介

タングトリル

タングトリルは巻き舌を利用したエクササイズのことで、舌を振動させて音を出します。舌をリラックスさせ、喉も開きやすくなります。具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 舌先を上の歯の裏側に置く
  2. 呼吸を整える
  3. 息を吐いて舌を「トゥルルルル」と震わせる

タングトリルを続けると音程や滑舌がよくなるため、特に人前で話したり歌ったりする方に

おすすめです。トレーニングはリラックスした状態でおこないましょう。

巻き舌やタングトリルについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも参考にしてください。

【あわせて読みたい】【超簡単】巻き舌のやり方とは?できる人とできない人の差や遺伝との関連性も紹介

表情筋トレーニング

口周りの筋肉を鍛えるために、表情筋トレーニングをおこなうのもおすすめです。感情表現が豊かになったり、声が明るくなったりする効果も期待できます。表情筋トレーニングの手順は以下のとおりです。

  1. 顔全体、特に頬から下顎にかけてマッサージする
  2. 鏡を見ながら口を大きく開けて五十音を順に発声する(「あ・え・い・う・え・お」というように)
  3. 2を割り箸をくわえて実施する

顔全体を使うことを意識してトレーニングをするのがポイントです。トレーニングを継続すると顔の筋肉が引き締まり、見た目の変化も期待できます。

表情筋というと、口周りの動きは意識しやすいかもしれませんが、眉や目などと細かくパーツごとに動かせればそれだけ表現の幅も広がります。リップノイズ防止のためだけでなく、日頃から意識的にやってみてください。

リップノイズに関するよくある質問

最後にリップノイズに関するよくある質問に回答します。音声の質を向上させる方法やクリアで快適な音声を届ける方法が知りたい方は、ぜひチェックしてください。

リップノイズは除去できる?

録音の場合は、専用ソフトやアプリを使用するとリップノイズを除去できます。音声を専用ソフトに取り込み、ノイズ部分を削除するとキレイに音が消えます。

ただし、ソフトをダウンロードし、ノイズを削除するには一定の時間がかかることがデメリットです。

リップノイズは口内環境を整えるだけでも軽減できる可能性があります。まずはリップノイズが起きる原因を知り、自分で対策してみることがおすすめです。

リップノイズ対策におすすめのマイクはある?

コンデンサーマイクは高い集音性を持ち、リップノイズにも強いため、音質にこだわる方に最適です。前方の音だけを収録する特性があり、ある程度距離を保つことでリップノイズを抑えられます。

また、リップノイズやポップノイズを防ぐためにポップガードを取り付けると効果的です。ポップガードは、口から出る息の衝撃を和らげ、ノイズを抑える役割を果たします。

リップノイズが気になるなら、プロの力を頼ってみよう!

本記事では、リップノイズ対策7選を紹介しました。原因はさまざまですが、適切な対策をとることでリップノイズを軽減できる可能性があります。

さらに、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングも3つ解説しました。どれも自宅で簡単にできるトレーニングですが、やり方を間違えると悪い癖がつくリスクもあります。そのため、声優や動画収録などを本格的に取り組んでいる方は、ボイトレ教室でプロから直接教わることも検討しましょう。

マンツーマンで気軽に質問・相談できる環境を探している方は、Beeボーカルスクールがおすすめです。声楽・ミュージカルコースや動画サイト/SNSアップコースなど、目的別で14のコースから好きなものを選べます。

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大阪出身。ビジュアルアーツ専門学校音響芸術学科卒業。

専門学校では、ボイストレーニングのベースとなる音楽理論、作曲理論、楽曲アレンジ、歌の伴奏等で必要なピアノのアレンジ、コードワークなど主に学ぶ。

卒業後、ボイストレーナーとして突き詰めるため、各分野のエキスパートに師事。並行して、ミュージシャンとしても本格始動。舞台やCM・テレビ番組などに楽曲を提供する一方、ボイストレーナーとして大手音楽スクールでレッスンを始める。テレビ番組にもボイストレーナーとして多数出演。
(ピアノ講師としてテレビ番組「お願い!ランキング」にも出演)

主な指導対象生徒は、大手事務所所属アイドル、俳優、舞台役者、声優、タレント、モデル、シンガー、バンドボーカリストから、保育士、僧侶、講演家、学者まで多岐に渡る。

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