張りのある声を出すために必要なトレーニング法

ボイストレーニング

2021/06/21

投稿者: 河野ひかり

張りのある声を出すために必要なトレーニング法

プロのオペラ歌手が出すような張りのある声は、聞いていて気持ちがよくなるものです。

そのような張りのある声は、歌手ではなくてもトレーニングを行うことで出せるようになる可能性があります。

ただ、ひとくちに「張りのある声」と言っても、どのような要素を備えた声を張りのある声と呼ぶのかをきちんと把握していなければ、トレーニングもうまくいきません。

本記事では、張りのある声がどのような声であるかを説明すると同時に、張りのある声を出すためのトレーニングもいくつか紹介します。

張りのある声とは通りがよくはっきりとした輪郭のある声

マイクで話す女性

「張りのある声」は、ただ単に大きな声やよく響く声のことを指すのではありません。もしそうだとしたら、叫び声はすべて張りのある声になってしまいます。

張りのある声とは、響きや通りがよく、はっきりとした輪郭を持っているような声のことを指します。

声に輪郭があるというのはイマイチピンと来ないかもしれませんが、声は目に見えないものなので、それを表現するためにはどうしても感覚的なニュアンスが多少なりとも入ってきてしまうことは、避けられません。

「張りのある声」とされる声と「張りのない声」とされる声を聞き比べていただければ、なんとなく意味合いが分かっていただけるとは思います。

いずれにせよ張りのある声からは、発声者の自信やポジティブで前向きな気持ちが伝わってくるものです。

張りのある声を出すためには声にメリハリを持たせることが重要

張りのある声を出すためには、一音一音ハッキリと発声することを心がけて、声にメリハリを持たせることが重要です。

また、ブレス(息)をどれぐらい声に変換させるかという点も、張りのある声を出すうえでは重要なポイントです。専門的な用語では息の燃焼率などとも言われます。

我々が普段普通に話しているときは、「声:息」が8:2ぐらいの感覚で話しており、ささやき声で話すようなときはこの割合が5:5ぐらいになります。

張りのある声を出したいときは、この割合を9:1や10:0ぐらいにするようなイメージで発声することを、心がけるとよいでしょう。

張りのある声を出すための5つのトレーニング

口元

張りのある声は、トレーニングを行うことで意識的に出しやすくなるものです。

張りのある声を出すためのトレーニングとしては、以下のようなものが挙げられます。

1. 舌を出して「エー」と発声する

「あっかんべー」の要領で舌を下に伸ばし、その状態で「エー」と発声します。

無理にきれいな声を出そうとする必要はなく、出しやすい声でかまいませんが、腹式呼吸で声を出すことは意識しましょう。

「エー」という音を長く出すのに慣れてきたら、舌を元に戻して普通に話してみましょう。

これまでと同じように話しているにも関わらず、しっかりと張りのある声になっているはずです。

2. 口を横長に開いて「イー」と発声する

口を横長に開いて、長く伸ばすイメージで「イー」と発声します。このときも腹式呼吸を意識しましょう。

発声が安定してきたら、少しずつ声を高くしていきましょう。お腹から声を出すイメージで発声を行えば、高い声も多少出しやすくなります。

なお、高い声を出そうと思うと顎が上がってしまいがちになるので、顎が上がらないように注意することが重要です。

誰かと一緒にトレーニングを行っているのであれば、顎が上がらないように顎を押さえておいてもらうのが効果的です。

トレーニング後に普通に発声してみると、普段より張りがあってスッキリとした声になってるはずです。

3. 声の響く場所を意識する

人間の声には主に、響くポイントが大きく3つあると言われています。1つ目が鼻腔と言われる鼻の中の空間、2つ目が口腔と言われる口の中の空間、3つ目が胸腔肺の中の空間です。

意外かもしれませんが、肺の中は空気が入っていて空洞でありため、音がよく響きます。

この3つの空間の中で、張りのある声を生み出すには、1つ目の鼻腔の空間をうまく使うことが非常に重要です。

ただ、いきなり鼻腔をうまく使うと言われても、意識することは難しいでしょう。そのためここでは、具体的な練習方法を説明していきます。

具体的な練習方法とはハミングで曲を歌ってみることです。

ハミングとはいわゆる鼻歌のことで、ハミングで鼻を触りながら歌ってみると、きっと鼻がブルブル振動するでしょう。この状態が、鼻腔をしっかりと支えている状態です。

実際に声を出して歌う時も鼻を振動させるように歌うと良いです。これにより、鼻腔共鳴という鼻腔が響いている状態を作り出すことができます。

また鼻腔の共鳴を意識することによって、喉に無理な負担をかけることも少なくなるので一石二鳥です。

ハミングでの練習を継続して、しっかりとした鼻腔共鳴をマスターし、張りのある声を手に入れましょう。

4. 遠くに声を飛ばすイメージで発声する

普段自然に出している声の高さから2音ほど高い声を、遠くに飛ばすようなイメージで発声しましょう。

音の高さを半音上げるごとに、飛ばす距離を倍にするようなイメージで声を出すようにします。

このトレーニングによって、直接的に張りのある声が出るようになるわけではありませんが、高音でも声量のある声が出せるようになるので、張りのある声のバリエーションが広がるでしょう。

5. ロングブレストレーニング

ロングブレストレーニングとは、その名の通り長く呼吸をするトレーニング法です。

口を軽く開けて、息漏れするような形で歯の隙間から息を吐き出します。Sの子音で息を吐くようにイメージすると良いでしょう。

息を吐く際に丹田と言われる、ベルトを締める位置にすこしだけ緊張感を持たせるとうまくいきます。

吐き出す息の量が常に一定になるように心がけ、肺の中の息をすべて出し切ります。その後に腹式呼吸を意識しながら、空気を吸い込みます。

この際に鼻から息を吸うようにすると、腹式呼吸がより感じやすくなるかと思います。

その後再び息を吐き出して吸い込んで…を3回ほど繰り返します。

このトレーニングを続けることによって、息を自由にコントロールできます。張りのある声を生み出すためには、息のコントロールが必要不可欠です。

正しい息のコントロールをマスターしていきましょう。

張りのある声を出すためにはトレーニングを欠かさないことが重要

張りのある声とは、通りがよく、発声者の自信やポジティブで前向きな気持ちが伝わってくるような声のことを指します。

生まれ持った素質でそういった発声を行える方もいますが、そうでない方でもトレーニングを継続することによって張りのある声を出すことは可能です。

トレーニングの方法はさまざまですが、どのようなトレーニングを行うにせよ、継続的に行わなければ意味がありません。

毎日の生活の中できちんと時間を設けて、トレーニングを欠かさないようにしましょう。

 

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愛媛県出身。2011年:株式会社ビー・ファクトリー入社。

15歳から劇団四季OB、東宝ミュージカルOBに演劇、ミュージカルを習い、1000人規模の舞台やミュージカル公演に出演を重ねる。音楽専門学校在学中の18歳から世田谷FMのラジオパーソナリティーを担当。卒業後TBS系列局に入社し、番組ナビゲーターや各種試写会、上映会MC担当。

その後事務所所属となり、舞台だけでなく、ドラマ、映画、バラエティーなど演技のフィールドを広げる。2011年にボイストレーナー転向を志し退所。

入社後これまでに、放送業界経験者として、出張レッスンも実施。NTTコミュニケーションズ、オイシックス、インタースペースなどの社員研修に組み込んでいただく形で企業セミナーを実施。

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