ボイストレーニング(ボイトレ)とは「発声に関するお悩みを解決するもの」です。そのため、普段の話し声に自信が持てたり、歌声に活かしたりできるようになるでしょう。
この記事では、ボイストレーニングの効果や自宅でできる練習メニューを徹底解説します。ほかにも、効果を高めるウォーミングアップやおすすめの練習曲にも触れていきます。
ボイストレーニングに挑戦してみたい方や、自宅でできる練習メニューを知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
ここでは、ボイトレで得られる効果について解説します。具体的には次の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ボイトレでは、出せる音域を広げる効果が期待できます。音域(声域)は、声帯がいかに伸縮できるかで決まります。
厳密には喉仏(甲状軟骨)を前下方に倒すことで、後ろに備わっている声帯が薄く伸び、高い声が出るようになります。そのため、喉仏(甲状軟骨)をコントロールするための筋肉(輪状甲状筋)を柔軟にストレッチするエクササイズが効果的です。
ボイトレによって、声の強弱をコントロールできるようになります。これは「息の漏れ方をコントロールできるようになる」ともいえます。
声の原音をつくる声帯は能動的に動くことができません。伸縮は喉仏(甲状軟骨)の力を借り、開閉は披裂軟骨と呼ばれる部位の力を借ります。その披裂軟骨によって、声帯の開閉力が決まるのです。
声帯を力強く閉じさせることができれば息漏れを防げ、力強い声になります。逆に閉じる力を弱めることができれば、優しい声を演出することが可能になります。
ボイトレによって、声質や声量をコントロールできるようになります。声の原音である、声帯の振動音がさまざまな共鳴腔に響いて声が出来上がります。
ボイトレでは、声帯だけではなく、共鳴腔の使い方なども練習します。共鳴腔は以下の5つです。
そのうちボイトレでエクササイズが可能なのは咽頭共鳴腔(喉)、口腔共鳴腔(口)、鼻腔共鳴腔の3つです。それぞれの共鳴腔の体積を変化させることで、声の太さや明瞭さ、声量、マイクの抜け感をコントロールできるようになります。
そして、音程がよくなったり高い声が出しやすくなったりなど、さまざまなメリットも得られます。
ボイトレは呼吸のトレーニングにもなります。ボイトレでは、主に吐く息(呼気)に注力します。吸った息を効率よく吐けるようにしたり、鋭く短く吐けるようにしたり、理想の発声に即したエクササイズをおこないます。
たとえば、オペラのようにマイクに頼らず声量豊かに歌う際には、そもそもの呼気量を増やす必要があるため、肺活量を鍛えます。また、ロングトーンなど、長く安定した声を発声するテクニックでも、呼気をコントロールする必要があります。
こうしたトレーニングが結果として、呼吸のしやすさにつながるのです。
独学でも簡単に取り組めるボイトレは多数あります。ここでは、自宅でできるボイトレのやり方5選について、詳しく解説します。
1つ目の方法は、「サイレン発声エクササイズ」です。サイレン発声とは、文字通り声をサイレンのように昇降させるだけのエクササイズです。
「あ〜↗︎あ〜↘︎」のように、出せる限界の低音から、出せる限界の高音まで行ったり来たりするのを繰り返します。そうすることで、その幅がだんだん広がってくるのが感じられるようになります。
これは声帯の伸縮度を高めていくことを狙ったエクササイズです。ボイトレの効果については、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。
【あわせて読みたい】【プロ解説】ボイトレの6つの効果!意味ないと言われる理由も解説
2つ目の方法は「ハミング」です。ハミングとは、鼻に声を響かせるトレーニング法です。声量アップや音程改善、明るい響きにする効果が期待できます。
練習の際は、少し硬めの声でハミングすると効果的です。鼻を意識して音を鳴らし、顔の表面で声が響く感じがすれば、正しくできている証拠です。
ハミングについて、詳しくは以下の動画を参考にしてみてください。
3つ目の方法は「リップロール」です。リップロールとは、唇を震わせるトレーニング法です。声帯の血流を高める、喉の負担を減らす、ファルセットが出しやすくなるなどの効果が期待できます。
リップロールは、唇を閉じて口から息を吐き、ブルブルと唇を振動させます。慣れないとうまくできないため、短いリップロールから取り組んでみましょう。
リップロールについて、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
【あわせて読みたい】リップロールの基本的なやり方やおすすめの練習法を紹介
4つ目の方法は「エッジボイス(フライボイス)」です。エッジボイスは、喉の奥からガラガラとした声を出す発声法です。感覚を覚えると、声帯が閉じる力をコントロールできるようになるでしょう。
具体的なやり方は、喉の奥から息を吐きつつ、軽く声を出します。そのままサイレンのように音を上げていくと効果的です。
揚げ物を揚げているときの音に似ているため、「フライボイス」と呼ばれることもあります。低音から高音まで、裏返らずに声を出せるように練習しましょう。
エッジボイスについて、詳しくは以下の動画を参考にしてください。
5つ目の方法は「ロングブレス」です。ロングブレスは、一定の量の息を長く吐くトレーニング法です。声量の安定や通る声になる効果が期待できます。
まず、鼻から息を吸い、歯の間から同じ量の息を吐き続けます。10秒程度からスタートし、慣れてきたら、吐く時間を少しずつ伸ばしていきましょう。
ボイトレの効果をさらに高めるため、ウォーミングアップを取り入れてみましょう。ここではおすすめのウォーミングアップについて詳しく解説します。
まずはリップロールをおこないましょう。ボイトレの前には、喉の周辺筋の血流を高めておくことが大切です。そうすることで、喉への負担が抑えられます。
前述通り、ボイトレにも役立ちますが、ウォーミングアップにもとても有効です。リップロールは、唇を閉じて口から息を吐き、ブルブルと唇を振動させます。慣れないとうまくできないため、短いリップロールから取り組んでみましょう。
喉のストレッチもおこないましょう。喉(首の前方)を伸ばすように引っ張るストレッチがおすすめです。引っ張りすぎないよう気をつけながら、斜め右、斜め左に伸ばすイメージでストレッチしましょう。
喉仏(甲状軟骨)は頭蓋骨からぶら下がるようにして存在しています。頭蓋骨とつないでいる筋肉を「茎突咽頭筋」といい、ここをストレッチしておくことで、その後のボイトレの効果を劇的に高めてくれることが期待できます。
ちなみに、カラオケなどで長時間歌唱し、声が出にくくなる経験をしたことのある方も多いと思います。そのときは大抵この茎突咽頭筋が収縮することで疲労感を覚え、声が枯れてしまうと考えられます。
口の動きを改善したい方や、明るい声を出したいという方には、表情筋ストレッチがおすすめです。ボイトレ前に取り組むと、無駄な力が抜け、明るい声になる効果が期待できます。
具体的なやり方は以下のとおりです。
このとき、意識的に唇と歯を離すようイメージしながらストレッチしてみましょう。「イ」のかわりに「ア」と発音する口の動きを取り入れるのも効果的です。笑顔をつくると気持ちも明るくなるので、楽しくボイトレに取り組めるでしょう。
また、「エアうがい」もおすすめです。このストレッチは歌舞伎などの稽古にも取り入れられているそうです。
表情筋ストレッチについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【あわせて読みたい】歌う前のウォーミングアップ方法やその重要性を解説
声の明瞭さを高めたいならボイトレ前の舌ストレッチがおすすめです。舌の付け根がほぐれ、発声や滑舌を改善する効果が期待できます。
具体的なやり方は以下の通りです。
それぞれの動作を何度か繰り返すと、舌の付け根がよく伸びます。痛みを感じない程度でおこないましょう。
舌ストレッチについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【あわせて読みたい】声質を改善するための4つのトレーニング方法
ポイントを押さえてボイトレに取り組むと、効果を実感しやすくなります。ここでは、ボイトレの効果を高めるポイントを詳しく解説します。
発声に関する悩みがある程度解決するまでは、定期的に続けましょう。感覚を喉に覚えさせたり、筋肉を円滑に動かしたりするためには継続した練習が大切です。
ボイトレは、筋トレやストレッチと同じなのです。
ボイトレに取り組む時間の目安は、ウォーミングアップやクールダウンを含め、1日あたり40分〜1時間程度です。喉への負担も考慮して、週4〜5日程度の練習を続けるとよいでしょう。
歌の練習時間について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【あわせて読みたい】歌の練習時間はどのくらい?喉の限界や上達度について解説
自宅でボイトレに取り組む場合、定期的に自分の声を録音するとよいでしょう。客観的に自分の声を分析することで、変化した部分を確認できるためです。
録音にはボイスレコーダーやスマホアプリが便利です。スケール練習など、ボイトレ中の様子を録音し、以前と比較すると効果を感じやすいでしょう。
ボイトレ中、喉に違和感が出たら休みましょう。喉を傷めると、回復に時間がかかってしまうためです。
ボイトレ中に無理をして声を出し続けると、喉を傷めてしまいます。ボイトレ中に喉の痛みや声枯れを感じたら中止し、喉のケアに努めましょう。
喉を傷めない歌い方について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【あわせて読みたい】カラオケ後に喉が痛い!原因と対処法、喉を痛めない歌い方も解説
歌えるようになりたい曲を決めると、ボイトレのモチベーションが上がります。1曲歌えるようになると、ボイトレの成果を感じやすく達成感を得られます。
曲が決まったら、最初の1小節や1フレーズだけなど、短く区切って練習するのもおすすめです。その部分で使われている発声やテクニックだけを練習すればよいので、ゴールが定めやすく、エクササイズも必要なものを選びやすくなります。
自宅でボイトレするなら、カラオケアプリの活用もおすすめです。自分の歌声を客観的に分析できるため、自分に足りない練習がわかるでしょう。
カラオケアプリには、採点やガイドボーカル、録音などの機能がついている場合もあります。音程の正しさやテクニックなどを客観的に分析できるので、効果的なボイトレを選ぶ参考にもなるでしょう。
独学でのボイトレが難しいと感じるなら、ボイトレ教室がおすすめです。トレーナーが自分に合った練習を提案してくれるので、効率よくトレーニングができます。
ボイトレ教室を選ぶ際には、通いやすさや予約の取りやすさも重要です。自宅や職場などから近い教室や、よく利用する駅に近い教室を選ぶと通いやすいでしょう。忙しい方は、都合に合わせてレッスン日を変更できる教室を選ぶと、レッスンを継続しやすいでしょう。
ボイトレの成果を試すため、自分の声質や音域に合った歌いやすい曲を選んで練習してみましょう。
ここでは、ボイトレにおすすめの練習曲を男女別に紹介します。どのような曲を練習したらよいかわからない方は参考にしてください。
男性におすすめの練習曲は以下のとおりです。
・花/藤井風
『花』はどこかレトロな切ないメロディーが特徴の曲です。サビにファルセットが使われているので、ボイトレで練習しチャレンジしてみましょう。藤井風さんは、昨今の流行りともいえる「強く張らない歌い方」の代表ともいえます。この発声はやってみるとわかるのですが、意外と難しく、練習曲とするのに最適です。
・奏/スキマスイッチ
カラオケで歌われるバラードといえば『奏』を選ぶ方も多いと思います。サビに突如として出てくる地声とファルセットの切り替えに苦戦する方も多いのですが、この切り替えの練習はボイトレではよくおこなわれるエクササイズです。地声とファルセットを交互に出すだけで、さまざまな筋肉によい効果をもたらしてくれます。
・KICK BACK/米津玄師
『KICK BACK』は人気アニメの主題歌として世界的にヒットした曲です。少しざらついた声を出すことで勢いを感じさせるロックナンバーですが、声帯の開閉力を鍛えた後にチャレンジしていただきたい曲です。
・Cry Baby/Official髭男dism
『Cry Baby』に限らず、Official髭男dismさんの歌はとにかくキーが高く、さまざまな表現力(歌唱テクニック)が求められます。声帯の伸縮を瞬時にできるようストレッチしておき、共鳴コントロールができるようになれば歌える曲も増えるはずです。
女性におすすめの練習曲は以下のとおりです。
・三日月/綾香
『三日月』もスキマスイッチの『奏』同様、地声から裏声への切り替えが印象的なバラードです。全体的に難易度は低く、歌いやすいと感じる方が多い曲なので課題曲には頻繁に用いられます。
・未来予想図Ⅱ/DREAMS COME TRUE
カラオケで人気のドリカムの中でも、音域の広さがあり、ロングトーンなどの呼吸テクニックが必要なナンバーです。メロディ自体は歌いやすいものの、急な低音や伸ばす音などが散りばめられており、ボイトレをしたあと試しにチャレンジすることを提案するトレーナーも多いようです。
・アイドル/YOASOBI
『アイドル』は、音程が飛んだり早口で歌唱しなくてはならなかったりするため、さまざまなテクニックが必要です。音の跳躍は声帯がストレッチされている必要がありますし、早口での歌唱は胸式呼吸と腹式呼吸をうまく使い分ける必要があります。
・唱/Ado
力強い声が印象的なAdoさんですが、真似をしたいならチェストボイスと呼ばれる、力強い地声を習得することをおすすめします。声帯の開閉力を鍛えたり呼気圧を高めたり、共鳴コントロールを駆使したりすることで得られる発声です。単なる会話声で用いられる地声よりも、さらにパワーアップさせる必要がありますが、発声できるようになるととても爽快です。
ボイトレには、自分で取り組める簡単なメニューが多数あります。自分の苦手な部分を克服できる練習メニューを選び、定期的に取り組んでみましょう。ウォーミングアップとしてストレッチなどを取り入れると効果的です。
「独学でのボイトレは効果を感じられない」とお悩みの方は、ボイトレ教室に通ってみましょう。プロのインストラクターが声の状態を判断し、悩みに応じたボイトレをおこないます。自分に合ったトレーニングで効率よく練習できるので、独学のボイトレが難しい方でも効果を感じやすいでしょう。
新宿・渋谷・池袋・赤羽エリアのボイトレ教室なら、Beeボーカルスクールがおすすめです。レッスン時間は自由に選べるので、忙しい方でも継続してレッスンを受けられます。個別カウンセリングで、インストラクターにボイトレの悩みを相談できるのも魅力です。
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