ホイッスルボイスとは?出し方の基本や練習方法を解説
ボイストレーニング
2021/06/18
ボーカリストはホイッスルボイスを身に着けることで、歌に迫力を出したり、他のボーカリストとの差別化を図れたりするでしょう。
しかし、練習をする際は基礎的な発声方法が正しく身についていることが必要不可欠です。また、無理な練習は声帯を痛める原因となってしまいます。
ホイッスルボイスの具体的な出し方と練習に繋がる発声方法、注意点を解説します。
ホイッスルボイスとは人の出せる一番高い声のこと
「超ハイトーンボイス」「超高音発声」ともいわれるホイッスルボイスとは、「人が出せる最も高い声」ということができるでしょう。
歌声というより、奇声に近いとも表現されます。あまりに高音のため、声というより笛の音のように聞こえることからこの名称が付いたとされています。
発声方法は特殊で難易度が高いものの、技術を身に着けることで歌にインパクトを出したり、聴衆を魅了する表現ができたりするでしょう。
ホイッスルボイスは上級者向けのテクニック
とはいうものの、声帯をほとんど振動させずに発声するため、ホイッスルボイスは基本的な発声方法(チェストボイスやミックスボイス、ヘッドボイス)を身に着けていないとできるものではありません。
できたとしても、それだけで歌が上手くなるものではなく、汎用性が高い歌唱方法とも言い難いでしょう。
また、初心者が無理に練習をすると声帯を痛める原因にもなってしまいます。
そのため、ホイッスルボイスは既に基礎ができ上がっていて、さらに表現の幅を広げたいなど、目的のある人におすすめできる発声方法といえます。
ホイッスルボイスの基本的な出し方
ホイッスルボイスを出すためには、声帯のどの部分を使っているか理解している、声帯閉鎖ができることが前提条件です。
以上をふまえて、基本的な出し方を解説します。
ステップ1. 息を吸いながら声を出す(吸気発声)
まずは、息を吸うタイミングに合わせて声を出すところから始めます。
ホイッスルボイスを出すためには、息を吸いながら声を出す「呼気発声」の感覚を掴むことが大切です。しゃっくりのときに声が出てしまうときの感覚に近いでしょう。
ステップ2. 息を吸いながら高音を出す
次に、息を吸った状態で声を段々と高く出せるようにしていきます。高音が出せるようになったら、ホイッスルボイスの原型はでき上がりです。
原型ができ上がったら、声門が閉まっていることを確認しましょう。
ステップ3. 吸気発声の声門を維持したまま息を吐きながら高音を出す
最後に、ステップ2の「ホイッスルボイスの原型」の声門の状態を維持したまま、息を吐きながら高音が出せるようにします。息を吐いている状態でも笛のような高音が出せれば、ホイッスルボイスの完成です。
このとき、息を吐いている状態でも、声門の閉まり方や、声帯の振動がステップ2と同じ状態か確認しましょう。もし、声門が開いてしまうなど上手くできない場合は、「ホイッスルボイスの原型」が身につくまで、何度もステップ1や2を練習しましょう。
慣れてくると、閉塞感もなく高い声が出せるようになります。
ホイッスルボイスが上手くなる練習法
ホイッスルボイスは何度も繰り返すことが練習となり、上達の近道となります。高度な技術なので、上手くなるためには練習以前に、まずは基本の発声方法を身に着けることが不可欠です。
また、基礎発声を身に着けることが、ホイッスルボイスの練習にもつながります。ホイッスルボイスが上手くなるためにマスターしておきたい、基本的な発声方法を解説します。
ミックスボイス
地声と裏声が混ざった中間の声をミックスボイス(またはミドルボイス)といいます。
ミックスボイスができれば、喉の力を抜いて中~高音域を力強く出せるようになり、ホイッスルボイスの基礎力となるでしょう。まずは、正しいミックスボイスが出せるように練習しましょう。
ヘッドボイス
発声方法のイメージとしては、裏声を鼻の当たりに向かって出し、その裏声を頭のてっぺんに響かせるように出します。ヘッドボイスをマスターすることで、ノイズの入らないクリアな高音が出せるようになります。
ヘッドボイスは綺麗な裏声を出せるこが前提条件なので、裏声に自信がない場合はそこから練習しましょう。
エッジボイス
声帯を閉じて「あ゛あ゛あ゛」とホラー映画のワンシーンのように発声する方法がエッジボイスで、ボイストレーニングにも使われています。
出し方としては、喉の力を抜き、軽く息を止めた後に低い声を出すことで感覚が掴めるでしょう。息を止める理由は声帯を閉じるためです。
高音を出しやすくなるほか、声帯のリラックスや声帯閉鎖の練習にもなります。
吸気発声
ホイッスルボイスの基礎となるのが吸気発声です。声門を閉じて、息を吸いながら発声する方法で、「引き笑い」をイメージすると分かりやすいでしょう。一度エッジボイスで発声して息を吐ききった後に(これで声帯が閉じる)、息を吸ったまま発声するとやりやすいでしょう。少ない息の量で高音を出す練習にもなります。
ホイッスルボイス練習時の注意点
最後に、ホイッスルボイスの無理な練習は声帯に大きなダメージを与えてしまいます。練習をするうえで注意したい点をご紹介します。
体調の良いときにリラックスして練習する
ホイッスルボイスを練習する際は、体調と喉の調子が良いときにしましょう。また、リラックスした状態でないと、声門を閉じるなど基礎的な動きが難しくなります。声帯のストレッチなどで喉と体の状態を整え、万全の状態で練習しましょう。
喉の痛みを感じたら練習を止める
ホイッスルボイスの練習中に喉の痛みを感じるようなら、やり方が間違っている恐れがあります。特殊な発声のため声帯に負荷はかかりますが、痛みが出る場合、ヘッドボイスなど基礎発声が身についていない可能性もあります。一度練習を中止し、発声方法の基礎を見直してみましょう。
練習は短時間にとどめる
特殊な発声方法であるため、ホイッスルボイスは喉へ大きな負担がかかります。そのため、長時間の練習には向きません。短時間で集中して行い、少しでも喉に違和感が出たら練習を中止しましょう。最初は5分程度など短時間にして、喉の様子も見ながら行うと良いでしょう。
難しい場合は専門家の指導を受ける
ホイッスルボイスは、発声方法のなかでも高度な技術です。基礎がしっかりと身についていないとマスターどころか練習することさえ難しいでしょう。
また、間違った練習方法を続けると、声帯に負担がかかり喉を壊す原因となってしまいます。
発声方法の基礎的な訓練を一度も受けたことがない状態でホイッスルボイスを身に着けたいなら、ボイストレーナーなど専門家から指導を受けることをおすすめします。
ホイッスルボイスは基礎発声が完璧な状態で練習をしよう!
ホイッスルボイスは声門を閉じ、声帯を微弱に振動させることで高音を出す極めて特殊な発声方法です。身に着けることで、歌に迫力や個性が出るものの、発声の基礎をマスターしていないと練習は難しいといえます。
練習の際は、少しでも喉に違和感を覚えたら中止し、基礎が身についていない場合は一度専門家の指導を受けることが上達の近道となるでしょう。
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