裏拍とは、音楽の拍の中で表拍の間にある拍を指し、リズムに軽快さやノリを生み出す重要な要素です。ポップスやジャズなど多くのジャンルで使われ、裏拍を意識することでよりグルーヴ感のある演奏や歌唱につながります。
本記事では、裏拍を感じるためのトレーニング方法や、代表的な楽曲を紹介しながら、リズム感をアップさせるコツをお伝えします。初心者でも取り組める方法を取り入れて、リズム感を大幅に向上させましょう。

目次
裏拍とは、音楽のリズムにおいて表拍の間にある拍のことです。具体的には、「1・2・3・4」とテンポに合わせて手拍子をしたときに、その手を叩いた音と音の間の空白を指します。「レゲエの神様」といわれるボブ・マーリーの代表曲「One Love」で説明するならば、ギター・カッティングの部分が裏拍にあたります。
1小節を8つに分割してリズムを刻む場合、「1と2と3と4と」と声に出して数えます。数字が表拍で、「と」の部分が裏拍です。
ちなみに、こうして1小節を8分割して感じるリズムの捉え方を「8ビート」と呼びます。音が鳴っていなくても、そこに“揺れ”や“重心”が存在しています。表拍がリズムの柱だとしたら、裏拍はその柱と柱の間に流れている空気です。
表拍だけでもリズムは成立しますが、裏拍を意識することで音楽にノリや立体感、グルーヴが生まれます。ブレス(息継ぎ)の位置を裏拍に合わせると、それだけでノリが生まれたりします。
レゲエやファンク、ポップス、R&B、ジャズなどジャンルは違っていても、聴いた瞬間に「なんかノリやすい」「気持ちいい」と感じる音楽には、裏拍を意識した演奏が存在しているのです。
日本人が裏拍を取るのが苦手といわれる理由は2つあります。
理由1. 文化的背景や音楽教育の違い
幼い頃に親しむ音楽の多くは表拍が強調されていて、まっすぐ進むリズムが特徴です。童謡や民謡、唱歌などは、ノリよりも「メロディの美しさ」や「日本語詩を丁寧に聞かせる」ことが理由かもしれません。
一方、レゲエやファンク、アメリカのスタンダードやR&Bなどラテンは、裏拍です。裏拍を感じ、歌われる音楽に触れ続けた文化圏の人は、裏に体が反応することが“当たり前”になっています。日本では、裏拍を感じ、ノることを重視する機会がそもそも少ないのです。
理由2. 日本語の発音習慣
日本語は、単語の最初の音にアクセントが置かれやすいのが特徴です。そのため、自然と“頭(ビートの表)で感じる癖”がつきます。
英語などの言語はその逆で、アクセントの強弱を交互に置きます。つまり、英語を話す文化圏の人たちは、言語の時点で裏拍に触れているといえるかもしれません。

裏拍を取ることは、歌や楽器演奏の上達に大いに役立ちます。具体的には、以下のようなメリットがあります。
その理由を見ていきましょう。
裏拍を意識できるようになると、リズム感は大きく変わります。表拍だけではなく、その“間”にある裏拍を感じながら音を聴くことで、リズムに余裕やニュアンスが生まれ、自然とノリやうねりが出てきます。
「グルーヴ感」や「グルーヴィー」という言葉がありますが、これは技術的な名称ではありません。裏拍を感じながら演奏しているときに生まれる、独特の“体が勝手に動く感覚”です。
ただし、裏拍の感覚は、理屈で理解するより、体が感じるともいえます。聴いたときに、肩や首が動く。気づいたら足がビートに合わせてリズムを刻んでいる。
裏拍を感じられるようになると、音楽はただ「正しく演奏するもの」から、「自分だけのリズムで歌唱・演奏できるようになる」ものに変わります。
裏拍の習得は、音楽的な適応力を大きく向上させる重要なスキルです。裏拍を習得すると、メロディの捉え方が変わります。
裏拍を意識すると、歌は「音符を線でつないでいる」ものから、「メロディが面となり、立体感が生まれる」ようになります。
アクセントの位置も自由自在に配置することが可能となり、レゲエやジャズ、R&Bなどの、細かな譜割が施されたメロディが歌いやすくなります。
裏拍のリズムの習得方法をいくつか紹介します。これらの方法を組み合わせて継続的に練習することで、裏拍のリズム感を徐々に身につけられます。
「1と2と3と4と」と声に出してカウントし、「と」の部分で手拍子や指パッチンをします。これにより、裏拍の感覚を体で覚えることができます。
裏拍は頭だけでなく、身体全体で覚えることが重要です。ダンス曲に合わせてステップを踏んだり、表拍を足で、裏拍を手拍子で表現したりします。
身体全体でリズムを感じることで、より効果的に裏拍を習得できます。最初は1小節を「1と2と3と4と」のように4カウントで刻むことからはじめ、慣れれば8ビート、16ビートと細かく刻めるようステップアップします。
メトロノームを利用することで、基本的な練習ができます。方法としては、メトロノームを表拍に設定し、その間の裏拍で手拍子を打ちます。
最初はゆっくりしたテンポ(例:♩=60)から始め、少しずつ速くしていきましょう。特に遅いテンポでは、裏拍のズレが顕著に表れるため、正確さを意識しやすくなります。
メトロノームがない場合でも、リズム練習アプリを使って裏拍のリズムを習得することは十分可能です。多くのリズム練習アプリに搭載されている、メトロノーム機能を利用してみましょう。
以下では、裏拍を練習できる日本のアプリを3つ紹介します。
「メトロノームビーツ」は、メトロノームアプリの中でもシンプルで使いやすく、裏拍の練習に適しています。テンポを自由に調整し、裏拍を強調する設定が可能です。初心者からプロまで幅広く利用されています。
「リズムパッド」は、ドラムパッドを模したアプリで、さまざまなリズムパターンを練習できます。特に裏拍の感覚を養うためのトレーニングモードがあり、実際のドラム演奏に近い感覚で練習することが可能です。リズム感を鍛えるための多彩な機能が揃っており、音楽の基礎をしっかりと学べる中級者向けアプリです。
アプリの詳細はこちら(iOS)
「リズムトレーナー」も、裏拍の練習に特化したモードがあり、視覚的にリズムを確認しながら練習できるアプリです。ゲーム感覚で楽しめるトレーニングモードもあり、飽きずに続けられます。初心者向けの使いやすさが魅力です。
裏拍を掴むための一番実践的な方法は、歌いながら裏拍を感じることです。とはいえ、メロディは常に均等なリズムで並んでいるわけではありません。だからこそ、「歌いながら裏を意識する」という行為は、多くの人が理解し難いポイントでもあります。
ヒントは英語詞にあります。英語には、言葉の中に必ず強拍と弱拍が存在しますが、この弱拍の感覚が音楽の裏拍とほぼ一致します。つまり、英語詞のボーカルを正確に感じ取れるようになると、裏拍は理屈ではなく身体で理解できるようになっていくということです。
洋楽を「聴き流す」のではなく、アクセント・息の方向・脱力する位置まで含めて分析することが、一番の近道となります。そして、そのまま再現するいわゆる「完コピ」が効果的です。
裏拍は、学習するより吸収するのが最速の方法です。そして突然「歌い方が変わった」ことを自身で感じられるようになっているはずでしょう。
基礎的な練習ができるようになったら、次は実際に音楽に合わせて裏拍を取ってみましょう。以下では、邦楽と洋楽それぞれ5曲ずつ、裏拍の練習に適した曲を紹介します。
1.「Billie Jean」 by Michael Jackson
出典:Michael Jackson – Billie Jean (Official Video)
2.「Uptown Funk」 by Mark Ronson ft. Bruno Mars Mark
出典:Mark Ronson – Uptown Funk (Official Video) ft. Bruno Mars
3.「Don’t Stop Me Now」 by Queen
出典:Queen – Don’t Stop Me Now (Official Video) / クイーン – ドント・ストップ・ミー・ナウ
4.「Superstition」 by Stevie Wonder
5.「Get Lucky」 by Daft Punk ft. Pharrell Williams and Nile Rodgers
出典:Daft Punk – Get Lucky (Official Video) feat. Pharrell Williams and Nile Rodgers
1.「Automatic」by 宇多田ヒカル
2.「決戦は金曜日」by DREAMS COME TRUE
出典:決戦は金曜日
3.「美人」by ちゃんみな
出典:ちゃんみな – 美人 (Dance Performance Video) –
4.「LOVE RAIN〜恋の雨〜」by 久保田利伸
出典:久保田利伸 – LOVE RAIN ~恋の雨~ [Official Video]
5.「花束のかわりにメロディーを」by 清水翔太
出典:清水翔太『花束のかわりにメロディーを』MV (Full Size)
裏拍の習得は、音楽表現の幅を大きく広げる重要なスキルです。本記事で紹介した方法や楽曲例を参考に、日々の練習に取り入れてみてください。
最初は難しく感じるかもしれませんが、継続的な練習で自然と裏拍を取れるようになり、歌唱力や演奏技術の向上につながります。
音楽をより深く楽しむために、裏拍の世界に飛び込んでみましょう。きっと新しい音楽の楽しみ方が見つかるはずです。
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