音感の種類「絶対音感」「相対音感」の違いを分かりやすく解説

上達への近道

2021/06/30

投稿者: 西 貴正

音感の種類「絶対音感」「相対音感」の違いを分かりやすく解説

音感の種類には、絶対音感と相対音感があります。絶対音感は聞こえてきた音の高さを瞬時に判別できる能力で、習得には幼少時の適切な訓練が必要です。

相対音感は、基準音と比較して、次の音を高さを正確に判別できる能力です。絶対音感とは異なり、訓練次第では大人になっても習得可能です。

今回は、絶対音感と相対音感の違いやそれぞれのメリット・デメリット、相対音感を鍛えるために押さえておきたいトレーニング方法5つのコツを紹介します。

音感の種類「絶対音感」「相対音感」

音感には、絶対音感と相対音感の2つがあります。それぞれの能力の特徴や音の聞き取り方、メリット・デメリットについては、次のとおりです。

音を聞いただけで音の高さを判別できる絶対音感

絶対音感とは、聞こえてきた音の高さを、ほかの音と比較することなく、瞬時に把握できる能力です。

たとえば、ドアを閉める音はシ、何かが落ちた音はレ、ガサガサと新聞を広げる音ソなど、日常生活で耳に入ってくるさまざまな音を正確な音階で表現できます。

絶対音感を持つ人のなかには、Hz数(音の周波数)まで判別できる人もいます。

絶対音感を持つ人は少なく、人口の1%未満といわれています。[注1]

絶対音感を持つことのメリットは、迅速に譜面を読める点、音楽の試験などで音を聞き取るテストが出たときに簡単にクリアできる点です。

また、絶対音感は基準となる音がなくても音程を判別できるため、移調が多い楽曲でも瞬時に把握できます。

一方、絶対音感には、日常生活において、普通の人なら気にならないような生活音が音階に変換されて気になるといったデメリットもあります。

また、カラオケや演奏会の際、少しの音程のズレも気になってしまい、音楽を楽しめないといったケースもあります。

[注1]音声言語医学 41:絶対音感と音痴[pdf]

2つの音を比較して音程差を判別できる相対音感

相対音感は、基準音に対して、次に聞こえてきた音の音程差を正確に判別できる能力です。

たとえば、基準音が「ド」の場合、次に指示された音を聞いたとき、「基準音よりも5音分高い=ラ」といったように判別します。

比較する音がなくてもどの音かを正確に判別できる絶対音感とは異なり、音を理解するためには、比較するための基準音が必要です。

相対音感あることで得られるメリットは、歌を覚えるような感覚で楽譜を覚えることができる点や、聴き取ったメロディーやコード進行を把握できるため、耳コピでの演奏が可能な点です。

演奏家や作曲家、歌手として活動したい人にとっては、ぜひ習得したい能力でしょう。

絶対音感・相対音感は後天的に身につくか

ヘッドホンを付けて歌う女性

絶対音感を身につけるには、聴力が発達過程にある幼少時の個人レッスンや適切なトレーニングが必要不可欠です。

トレーニングを始める年齢が低いほど習得できる可能性が高くなるため、保護者の全面的な協力のもと、幼児期(4〜5歳)から積極的にレッスンを行う必要があります。

大人になってからでは、いくら訓練しても習得できない音感です。

一方、相対音感は、成長後であっても、訓練次第で後天的に身につけることが可能です。

ある程度の相対音感は誰もが持っているものであり、毎日のトレーニングで鍛えることで、よりスムーズに音程を判別することが可能になります。

相対音感は音の高さを聞き分ける能力です。聞き分けた音を正しい音階で演奏したり歌ったりするには、アウトプットする能力が必要です。

英語の勉強にリスニングとスピーキングが必要なのと同様に、相対音感を音楽活動に役立てるには、インプットだけでなくアウトプットの訓練が欠かせません。

相対音感を鍛える5つのコツ

ピアノと音符

幼少時からの訓練が必要不可欠な絶対音感とは異なり、相対音感は訓練次第で大人になってからでも習得できる能力です。

相対音感を鍛えるには、ただ音楽に触れるだけでなく、いくつかのコツを押さえて訓練する必要があります。

1. 楽器に触れる習慣をつける

まずは日頃から楽器に触れる、楽器を演奏する習慣を身につけましょう。楽器は必ず調律して、音程を正確に聞き取れるものを利用します。

簡単な楽曲でも良いので、毎日欠かさず演奏することが重要です。慣れてきたら、アドリブ演奏をしてみましょう。

自分でメロディーを作って演奏することは難しいことのように感じますが、深く考えず、同じ音を並べたり伸ばしたり、気軽に演奏してください。

相対音感の訓練になるだけでなく、演奏力や作曲力の向上にも効果的です。

2. ピアノの音に合わせて声に出す

ピアノで演奏した音に合わせて、音階を声に出すだけの簡単なトレーニングです。

手軽なうえに効果も高いため、ピアノを持っている場合、または用意できる場合は、ぜひ取り入れたいトレーニングです。

3. 楽器の演奏やコーラスを耳でコピーする

コード進行を把握したい、コード演奏がしたいという場合は、楽曲の伴奏を耳で聞き取ってコピーする方法がおすすめです。コード上の音や音程を正確に判別する訓練になります。

コーラスの耳コピは、インプットだけでなくアウトプットの訓練にもなります。

まずは3度上(主音から音符2つ上の音)のコーラスから耳コピし、慣れてきたら次は5度上と、徐々に難易度を上げていきましょう。

音を正しく聞き取り、正しい音階を発声することがポイントです。

コーラスによってはコーラスラインに微妙な異なりがあるため、聞き取りづらい場合もあります。

どうしてもコーラスが聞き取れない場合は、バンドスコアの譜面に載っているコーラスラインを確認するのもよいでしょう。

4. コピーした曲を楽譜に起こして歌う

楽器の演奏や音階の聞き取り、耳コピに慣れてきたら、耳でコピーした曲を楽譜に起こして歌ってみましょう。

楽譜に起こすことで音階を改めて認識し、その音を頭で響かせながら歌うことは、効果的なイメージトレーニングです。

この訓練を繰り返すことで、楽譜を見るだけでどんな楽曲なのかを理解できるようになります。

5. 和音感覚訓練をする

弦楽コーラスのハーモニーを音で聞き取りながら主旋律を歌うトレーニングは、和音感覚を鍛えるのに効果的です。

和音感覚が鍛えられると、音を聞き分ける能力が向上し、メロディーがわからなくなったときでも、自分の発声した音階を即座に理解し、正しい音を出せるようになります。

絶対音感と相対音感では音の認識方法が異なる

特定の音を聞いたとき、比較する音がなくて音の高さを判別できる絶対音感を身につけるには、幼少時からの訓練が必要です。

一方、相対音感は、2つの音を比較して、音の高さを聞き分ける能力です。音楽のメロディーやコード進行を耳で聞き取り把握したり、楽譜を読む際に役立ちます。

訓練次第で大人になってからも習得できるため、歌手や作曲家、演奏家を目指す人は、今回ご紹介した訓練方法をぜひ実践してみてください。

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