ピアノの表現力3つの要素や養う方法を徹底解説
ピアノ上達方法・テクニック
2021/06/08
ピアノをはじめ、音楽を演奏するためには技術力が求められます。
ですが、技術力のみが求められているわけではありません。
楽器を演奏するための技術だけでなく、聴いている人の心を打つような表現力が大切なのです。
今回は、ピアノを演奏するうえで大切な表現力3つの要素と養うための方法について徹底的に解説します。
ピアノを演奏する際の表現力に大切な3つの要素
ピアノを演奏するための楽譜には、音符だけでなくさまざまな記号が記されています。
優秀な技術力を持っていれば、楽譜通りに演奏することは容易いでしょう。
ピアニッシモとあったから弱く、ビバーチェとあったから速く、こういった要素はピアノを上手に演奏するためには欠かせません。
しかし、本当に必要なのは楽譜通りに演奏する技術ばかりではないのです。
音楽は、演奏のなかで速度や強弱を必要な場面で変化させます。
これらに関する指示は、気まぐれで決められているものではなく、一つひとつの記号にはそれぞれ大切な意味があるのです。
ピアノを演奏するうえで求められているのは、聴いている人に記号の意味が伝わるような表現力です。
「ここで弱くしたからこそ、ここで速くしたからこそ、通じる意味がある
」というように、聴いている人の心を強く打つような表現力を身につけなければなりません。
人の感性に訴えるような表現力を身につけるのは、そう容易ではありません。
また、人によって表現力の見つけ方はさまざまです。
今回は、表現力を身につけるためのヒントとして、大切な要素を3つご紹介します。
1. 弾く前の段階でその曲に対する理解を深める
クラシックにおける代表的な作曲家の1人として、フレデリック・ショパンが挙げられます。
ショパンは数多くの名曲を作曲し、別名「ピアノの詩人」とも呼ばれるほど偉大な人物です。
ショパンの代表曲といえば「別れの曲」です。
1835年、ショパンはドイツで古い知り合いの伯爵一家と再会します。
そこには、16歳を迎えた伯爵一家の娘マリアがいました。
ショパンは久しぶりに再会したマリアの美しさに惚れ、すぐさまプロポーズをします。
しかし、ショパンが生まれつき弱い体であったことやマリアがまだ若いこともあり、結婚は破棄されてしまいます。
その町を去ることになったショパンがマリアにプレゼントした曲が、別れの曲です。
この曲には、ショパンのマリアに対する思いが込められています。
このように、曲にはさまざまな背景が存在します。
楽器の演奏は、表現することと同義です。
素晴らしい表現をするためには、自分自身の感性が求められます。
何も知らず、何も土台になりえるものがない状態で曲を演奏しようとすると、中身のない音楽になってしまいます。
その曲がどういった経緯で生まれたのか、それに対して自分はどう感じたのかを大切に演奏しましょう。
2. 曲名の込められたイメージを汲み取る
曲名には、作曲家のさまざまな思いが込められています。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、クラシック音楽の数ある作曲家のなかでも群を抜いて重要な作曲家です。
作曲家でありながら後年に全聾となってしまいます。
ですが、そのような状態で日本でも有名な名曲「交響曲第9番 ニ短調 作品125」を作曲しました。
ベートーヴェンが作曲したピアノの名曲の1つとして、「エリーゼのために」が挙げられます。
エリーゼとは、ベートーヴェンが恋をした女性テレーゼ・マルファッティの誤植だとされています。
ベートーヴェンはテレーゼにプロポーズまでしますが、結局は振られてしまいました。
誤植とはいえ、想い人の名前をそのまま曲名に付けてしまうのは、それだけ凄まじい恋心や思いを感じさせます。
ショパンの別れの曲とはまた別のベクトルで、叶わなかった恋心が込められています。
長い音楽に対してどうしても短くなってしまう曲名には、その曲への思いが込められています。
曲名からざっくりとでもイメージを汲み取ってみるのはよい方法でしょう。
3. 楽譜から曲の雰囲気を読み取ってみる
楽譜をそのまま演奏する前に、全体を通して見て曲の雰囲気を読み取ってみましょう。
楽譜を読むことで、その曲がどういった流れで演奏されるのかおおよそ理解できます。
それだけでなく、もう1歩踏み込んでその曲は端的にいってどのような曲なのか、楽譜を見た段階でぼんやりと分析してみることが大切です。
加えて、曲の構成についても注意して確認してみましょう。
最初のうちは、同じメロディが使われていることを認識する程度の確認でも構いません。
その曲が名曲なのであれば、その構成には確実に意味があります。
ただ単に繰り返されているわけではないのです。
経験を重ねていきながら、そういった部分の意味も踏まえて表現できるようになりましょう。
ピアノの表現力を養うための方法
ピアノに限らず、何かを表現するためには自分のなかに引き出しがなければなりません。
何もないところから表現は生まれないためです。
引き出しを作るために、さまざまな音楽に触れましょう。
ただ音楽を聞くのではなく、自分がどうしてこの曲に心が惹かれるのか、細かく分析してみることが大切です。
また、音楽ばかりでなく、さまざまな創作物に触れてみてもよいでしょう。
絵画や映画、演劇など、世のなかには多くの創作物が存在します。
これらは製作者の思いと技術によって表現されているため、ピアノに通じるものがきっと見つけられるはずです。
そして、表現力ばかりを意識してはいけません。
優秀な技術がなければ、引き出しを作り、その引き出しを披露することができないためです。
感受性を豊かにしながら技術を着実に積み重ねて、自分だけの表現力を掴み取りましょう。
独学だけでは難しい部分もある
技術力にしろ表現力にしろ、独学だけでは難しい部分があります。
技術力を身につけるためには、スクールに通って専門としている講師に教わったほうが遥かに効率的です。
また、表現力に関しても同様で、これまで多くの経験を積み重ねてきた講師や自分以外の人生を生きてきた同世代の人たちと触れ合うことは、大きな刺激になるでしょう。
ピアノスクールを選ぶ際は、レッスン料ばかりでなく口コミを大切にしましょう。
表現力は、その人の感性と大きく影響しています。
誰と出会い、どのような時間を過ごすのか、これらは感性や表現力を左右します。
ただ安いだけで淡々と技術を教えるのではなく、人間性を大切にしながら教えてくれるスクールを探しましょう。
自分らしい感性を持って音楽や創作物に向き合うことが大切
ピアノは、言葉ではなく音楽で人の心を打ちます。
目に見えず、明確に言葉では表現できないのが音楽の世界です。
ピアノで人の心を打つためには、確かな技術力とその人にしかない表現力が重要となります。
そのためには、音楽だけでなく、さまざまな創作物に触れて感受性を豊かにしましょう。
曲が生まれて100年以上経ってもなお、多くの人に聞かれている名曲には、愛され続けている理由が存在します。
名曲に触れて、感じたことを大切にしながら、あなただけの表現力を見つけてみてください。
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