ピアノのグリッサンド奏法の基本的なやり方をわかりやすく解説

ピアノ上達方法・テクニック

2021/06/21

投稿者: 磯崎 由佳

ピアノのグリッサンド奏法の基本的なやり方をわかりやすく解説

ピアノのグリッサンド奏法によって、表現の幅が広がります。

もちろん弾けるようになるまで努力が必要ですが、しっかりと練習を続ければグリッサンド奏法は誰でもマスターできるはずです。

根気よく把握してグリッサンド奏法をマスターしましょう。

本記事ではグリッサンド奏法の特徴・基本的なやり方・コツ・学び方などを紹介します。

ピアノのグリッサンド奏法とは

ピアノのグリッサンド奏法の「グリッサンド」は「滑る」という意味があります。1音1音を区切らず、流れるように・滑らかに音階を移動させる奏法です。

鍵盤の上を4本の指で駆け上がったり駆け下りたりする際、4本の重さを均等にかけながら動かしていきます。

しかし駆け上がるときと駆け下りるときでは、指の向きや形が変わるため、かなり難しい奏法です。

一見指を滑らせているだけのように見えるのですが、実際はとても繊細で細かな技術が必要になります。

ポルタメント奏法との違い

ピアノのグリッサンド奏法と、バイオリン演奏で用いられるポルタメント奏法を混同している人も多いでしょう。

何となく似ていますが、実は全く異なる奏法です。

グリッサンド奏法とポルタメント奏法は、どちらも2つの音をつなげて演奏するのは同じですが、速度が大きく異なります。

グリッサンド奏法の場合は、音と音を一定の速度でつなげて演奏するのが基本です。一方、ポルタメント奏法は音と音を抑揚のついた速度でつなげて演奏します。

さらに、決定的な違いはピアノの演奏にはポルタメント奏法を用いらない、ということです。

ピアノの誕生から今までの長い歴史で、ピアノの演奏にポルタメント奏法を用いた人はいます。

しかし、ピアノではポルタメント奏法を再現するのが難しく、基本的にピアノの演奏には用いることはありません。

ピアノのグリッサンド奏法の基本的なやり方

ピアノのグリッサンド奏法

  • 爪を使って弾く
  • 手の角度を浅めにする
  • 上がり・下りで弾き方を変える

基本的なグリッサンド奏法のやり方は、上記の3つです。それぞれについて、詳しく解説します。

1. 爪を使って弾く

ピアノは基本的に指の腹を使って演奏します。特に子供のころからピアノを習っている人は、爪や拳を使って弾いていたら怒られた……という経験がある人も多いでしょう。

しかし、グリッサンド奏法のときはあえて爪を使って弾くのがコツです。

指の腹を使って弾くこともできますが、それだと指がすぐに痛くなってしまう人もいます。

指に痛みが出ると、グリッサンド奏法をする際に指がこわがり、音がキレイに出なくなるのです。

音がブレてしまいがちな人は、爪を使って弾いてみてください。爪の方がしっかりと鍵盤を押すことができ、音がブレにくくなります。

2. 手の角度を浅めにする

グリッサンド奏法を始めたばかりの人は、つい力が入りすぎて手の角度が深くなってしまいます。角度が深いと音が強めになってしまい、音の強弱がつけづらくなるのです。

浅い角度で鍵盤に指をのせながら、優しくなでるように指を滑らせましょう。とてもきれいな音が出せます。

また、角度が深くなればなるほど手首に負荷がかかるため、手首を痛めたり内出血したりする原因にもなるでしょう。

せっかく上達し始めてきたのに、手首を痛めてしばらく弾けなくなった……となると、マスターするまでに時間がかかってしまいます。

浅めの角度を常に意識して弾くようにしてください。

3. 上がり・下りで弾き方を変える

グリッサンド奏法には、指を駆け上がらせる弾き方と指を駆け下りさせる弾き方があります。

鍵盤の上で指を滑らせる、と習う奏法なので、つい同じ指の形・向きで弾いてしまいがちがですが、上がりと下りの弾き方は全く違うのです。

指を駆け上がらせるときは、手のひらの向きは裏返し・指の形は真っ直ぐに伸ばします。

一方、指を駆け下りさせるときは、手のひらの向きは下・指の形は丸めて爪が鍵盤に当たるようにするのが、正しいグリッサンド奏法です。

どちらのときも手のひらを下に向けて弾いている人が多いため、指を駆け上がらせるときは手のひらを裏返す、と覚えておきましょう。

ピアノのグリッサンド奏法のやり方を学ぶ方法

鍵盤に触れる女性の手

ピアノのグリッサンド奏法をマスターする方法は、主に3つです。

1. 独学で学ぶ

ある程度ピアノの基本ができている人に限りますが、独学でもグリッサンド奏法を学ぶことができます。上記でお話ししたコツをもとに、自分なりに練習してみましょう。

独学なら、自宅で好きなときに好きな時間だけ練習ができます。自分で時間調整がしやすいので、何かと毎日忙しい方におすすめです。

2. 動画で学ぶ

独学で学ぶ方法と近いですが、最近は動画サイトでグリッサンド奏法のコツや練習方法を説明している動画があります。

動画を見ながら練習できるので、独学で学ぶよりもコツがつかみやすく、上達も早いでしょう。

ピアノ教室に行く時間は作れないけれど、独学では不安……というときは動画で学ぶ方法がおすすめです。

3. ピアノ教室で学ぶ

グリッサンド奏法を学ぶ方法として最も一般的なのは、ピアノ教室に通って学ぶ方法です。現状のレベルに合わせて、講師が弾き方を指導してくれます。

直接指導が受けられるので、わからないことがあればその場ですぐに解決できるでしょう。

しかし、費用が高額になりやすく講師と相性によっても上達具合が変わるので、ピアノ教室を選ぶときは自分に合っているかどうかを慎重に見極めてください。

グリッサンド奏法の難しいポイント

グリッサンド奏法をマスターしたいなら、とにかく練習あるのみです。実際に練習してみて、難しいと感じている人はたくさんいるようです。

指に均等に力がかけられない

グリッサンド奏法は、指に均等な力をかけなくてはいけません。しかし実際に弾いてみると、どの指にも均等に力を書けるのは難しく、音がブレやすいです。

また力を入れすぎても入れなさすぎてもきれいな音が出ないので、均等かつ丁度良い力がかけられるようになるまで、時間がかかります。

指が痛い

グリッサンド奏法の練習をしていると、指に痛みを感じる人が多いです。ヒリヒリとした痛みは長引きやすく、練習にも支障が出てしまうでしょう。

早く上手くなりたい、グリッサンド奏法を身につけたいと思うと毎日練習したくなるものですが、過度な練習は控えてください。

また練習中に指の痛みを感じたら、無理して練習を続けずに一旦休憩して指を労わってあげましょう。

スピードがコントロールしづらい

グリッサンド奏法は、抑揚をつけずに一定のスピードを保って指を滑らせなくてはいけません。しかし実はそれが難しく、つい早く指を滑らせてしまいがちです。

スピードがコントロールできないと、予想以上に大きな音が出てしまったり曲の雰囲気を台無しにしてしまったりするので、とにかくスピードをコントロールすることを心がけましょう。

グリッサンド奏法は根気よく練習してマスターしよう

グリッサンド奏法は簡単そうに見えて、実はコツ・技術が必要な難しい奏法です。マスターするためには、とにかく練習しましょう。

最初はなかなか上手く音が出せない・ブレてしまう・指が痛いなど、さまざまな壁がありますが、ある程度弾けるようになると、練習も楽しくなります。

根気よく練習を頑張って、グリッサンド奏法をマスターしましょう。

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千葉県鴨川市出身、東邦音楽大学音楽科を卒業後、2008年にBeeミュージックスクールにアルバイトとして入社。

幼少期からエレクトーンを習い、作曲、アレンジなどにも取り組み、中学になった頃より音楽講師を目指し、本格的に音楽の勉強に取り組む。大学在学中は中学高校の教員免許を取得。声楽を専攻しながら、伴奏やエレクトーンにてコード理論を学ぶ。

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